Kumonodaira Trail Club

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2024年度 祖父岳巻き道 植生復元

祖父岳巻き道の植生復元のメイン画像

土壌侵食が進んだ登山道をどのように直していけるのか。植生復元作業も徐々にメンバーが自律的に計画することができるようになり、作業精度も高まってきました。

祖父岳巻き道の植生復元は、昨年に続き、深くガリー状に土壌侵食が起こっている箇所に土留ロール工を施す作業です(工法や作業のディテールについては2023年の活動報告をご参照ください)。こちらの現場では、この4年間で技術や知見を習得したコアメンバーが基本計画の策定から主導し、新規参加者に技術指導を行うなどメンバー間の自律的な運営体制が整ってきたことも今後に向けた大きな進展でした。

また、プログラムを機械労働的なものにしないために私たちが現場で心掛けていることとして、多様な環境で、さまざまな素材の使い方を複合的に経験すること、全てのメンバーが能動的に関与できるように少人数のグループに分けてまんべんなく作業を行うことなどがあります。それらの経験を通じて、参加者が柔軟に自然を読み解きながら、自ら判断する習慣を身につけることが大切だと考えています。

作業エリアマップ

マップ上の各ピンをクリックすると、その場所の情報が表示されます。

2024年度は、2023年に実施した植生復元箇所から黒部源流側へ進んだ地点で、新たな植生復元作業を行いました。
前年と同様に祖父岳山頂方面から雨水や土砂が流れ込みやすい場所での作業です。

2024年度作業エリアマップ

作業前と作業後の比較

スライダーを左右に動かすと作業前と作業後の変化を比較できます。

祖父岳巻き道 植生復元(雲ノ平山荘方面)

作業後の画像 作業前の画像

深くえぐれたガリー状の地形に沿わせて三段の土留ロールを設置しました。

祖父岳巻き道 植生復元(黒部源流方面)

作業後の画像 作業前の画像

上部にある旧登山道から土砂が集まりやすい箇所に土留ロールを設置しました。土砂が堆積し、徐々に植生が戻ることで自然な地形が作られます。

実践した施工方法の紹介

土留ロール工法

ヤシネットで転石を巻き込んだ土留ロールを侵食面に設置

土留ロール工法の概要図
  • 侵食面に密着するように設置し、土壌の崩れを受け止めて自然地形を形成する。
  • 腐ると構造が失われる丸太と違い、構造として地形を作り、生態系の基盤ができる。
  • 最終的には植生が全体を覆い、人為的な工作の形跡が残らない。
  • ヤシネット、石、土などのバランスで適切な発芽環境が得られる。
準備作業のイラスト
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準備作業

踏圧、流水、乾燥、霜などの作用で侵食された状態

堰(せき)

ヤシネットに転石を巻き込み堰を作る

堰の概要図
  • 二次侵食を起こしやすい丸太の土留に対し、透水性と土留効果を両立させる工法として開発。
  • 自然の沢のように水勢を分散させる効果もある。
  • 腐ると構造が失われる丸太と違い、構造として地形を作り、生態系の基盤ができる。
  • 最終的には植生が全体を覆い、人為的な工作の形跡が残らない。
  • ヤシネット、石、土などのバランスで適切な発芽環境が得られる。
現場調査のイラスト
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施工前

傾斜があり流水で侵食を受けやすい状態

活動風景ギャラリー