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活動レポート 2025.03.01
祖父岳登山道の修復と植生復元、4年目の視点とこれからに向けて

2024年も無事に雲ノ平トレイルクラブの登山道整備ボランティアプログラムを終えることができました。関わっていただいた皆様、そしてサポートしてくださった方々に心から感謝いたします。
私たちの活動が少しずつ成果をあげていることを実感する一方で、自然環境の変化には時間がかかり、時には見えない部分での進展もあると感じています。今回のブログでは、祖父岳登山道で行われた石積の修繕や植生復元の取り組みについて、4年目の視点から振り返ります。
祖父岳登山道の修繕作業と成果
今回は2021年に施行した祖父岳登山道の石積み修繕や、新たな箇所での石積みによる登山道整備、祖父岳周辺の植生復元を行いました。
この取組も4年目ということで、少し感覚がつかめてきた気もします。石積みも少し力が抜けてきたというか、緩やかな石畳のような仕上がりが結構気に入っています。奥に水晶岳が見える石の道の風景です。

2008年から試行錯誤を続けている登山道の浸食修復ですが、長期間にわたる取り組みであり、その成果が明確に見えるまでには時間がかかります。しかし、最近では周辺での修復事例も増え、その変化を少しずつ感じることができるようになってきました。

参考資料として、平成24~26年度の「北アルプス・雲ノ平植生復元事業報告書」も共有します。詳細はこちらでご覧ください。
雲ノ平での整備活動と、直面する現実
雲ノ平での整備活動は、時間も面積も広大な庭づくりのようです。創作活動として考えるならば非常に魅力的な世界とも言えます。ここまで歩いて来れるうちに、大きな成果を自分の目で確かめることはできないかもしれませんが、環境の変化を繊細に感じられる空間です。
一方、このような貴重な場における整備活動の有無あるいはクオリティが、その場所に関わりのある人々の態度次第という状況が非常に気になります。なぜ自分たちが手をかけなければならないのか。
貴重な環境であるにも関わらず、特に指針もなければチェック機能もありません。実際、各地で手法や性能に大きな差があり、問題も生じています。環境省や自治体が、資金を集める取組を始めていますが、肝心な部分は空っぽのままな印象です。

これからの課題と希望
雲ノ平トレイルクラブでは、学びやディスカッションの時間も大切にしていますが、真剣に考えれば考えるほど、暗い気分もしてきます。よいメンバーに囲まれ、活動そのものは楽しく魅力的ですが、状況が変わるにはまだまだ道のりは長そうです。
決して短期的なものではなく、長い視点で取り組み続ける必要があります。これからも雲ノ平トレイルクラブの活動を通じて、自然環境を守り育てていく努力を続けていきたいと思います。